自己流トレーニングで思った動きにならない理由|"知ってる"と"できる"は別物という話
2026/09/19
正しいフォームの理屈は分かったつもりでいる。
動画で見た動きのメカニクスも、頭では理解している。
それなのに、自分なりにやってみると、なぜか同じ動きにならない。
そんな経験はありませんか。
これは、根性が足りないわけでも、センスがないわけでもありません。
「理屈が分かる」ことと「その通りに体を動かせる」ことは、そもそも別物だからです。
「知ってる」と「できる」の間にあるもの
体は、これまで動いてきた通りにしか動けません。
これは、単なる「クセ」の話ではありません。
今の骨格の配置や可動域に合わせて、それを動かすための神経系が出来上がっているからです。
新しいフォームが求める角度や動きが、今の骨格にとって無理のある範囲だった場合、
理屈をどれだけ理解しても、体はその通りに反応してくれません。
フォームというのは、結果として現れた「形」に過ぎません。
その形を作っている土台——骨格の配列や、関節の可動域——は人によって違います。
土台が崩れたまま表面の形だけを真似ても、体は「その形を作るために、どこかで無理をする」しかないのです。
ちなみに、骨格が整っていなくても、見た目だけならフォームを再現できてしまう人もいます。 器用さや運動感覚の良さで、表面上の動きを真似るのが上手いタイプです。
ただ、この場合も結果が伴うとは限りません。
見た目は似ていても、力を生み出す仕組みそのものが土台からズレていることがあるからです。
体の土台がフォームの形を決めている、という話は[良い姿勢が最高の動きを作る理由]の記事でも詳しく触れています。
自己流でハマりやすい、もうひとつの落とし穴
自己流トレーニングでもうひとつ厄介なのが、「感覚」を正しさの判断基準にしてしまうことです。
例えば、筋肉に負荷がかかっている感覚があると、「これで合っている」と思い込みやすくなります。
ただし、この負荷がどこにかかっているかまでは、自分では正確に判断できません。
[動かす側/動かされる側]の話で触れたように、間違った部位が無理に頑張っているだけの場合もあれば、
逆にこれまで使えていなかった部位が正しく働き始めたことで負荷を感じている場合もあります。
負荷そのものは、良し悪しのサインにはならないのです。
もう一つ、動作そのものの「手ごたえ」も当てになりません。
スプリントでいい感覚でスピードに乗れたと感じたのに、思ったほどタイムが伸びないこともあれば、
逆にあまり手応えを感じなかった時の方が、タイムが良かったということもあります。
投球でも同じです。指にしっかりかかった感覚があった球が思いのほかキャッチボールの相手の手元で失速し、手ごたえが薄かった球の方が、むしろ伸びていたりします。
感覚は、正しさを保証してくれるわけではないのです。
なぜ、対面での指導に意味があるのか
ここまでの話を踏まえると、自己流でつまずきやすい理由が見えてきます。
・骨格や神経系に染みついた"これまでの動きのクセ"が、新しいフォームを物理的に妨げる
・フォームという表面の形だけを真似ても、土台が違えば同じ動きにならない
・「効いている感覚」は、正しさの証明にはならない
これらはすべて、自分ひとりでは気づきにくいものです。
鏡越しに見た自分の姿と、実際の骨格の状態は、必ずしも一致しません。
実際、当ラボに来られる方の相談でも、こうしたことがよく起こります。
「この動きができるようになりたい」「この動きに違和感がある」と具体的に相談を受けた時、こちらの見解をお伝えして体を動かしてもらうと、「ここは全然気にしていなかった」、「確かにそうだ」など新しい発見につながることがあります。
ある方は、シャドーボクシングでは良い感覚で動けるのに、鏡を見ると動きが変わってしまう、本番では緊張から練習通りに動けない、という悩みを抱えていました。
「なぜできないのか、できた時もなぜうまくいったのかが分からず、再現性がない」とご本人がおっしゃっていたのが印象的です。
こうした場合、実際に動きを見せてもらい、体に触れて現状を把握し、考えられるクセや動作のズレを一緒に確認しながら試していく——このやり方でしか進めません。
これは、自己流では届きにくい領域です。そもそも自分の頭の中にない概念は、自分で気づくことも、考えることもできないからです。
だからこそ、[ 地面を蹴る力が逃げていく理由]や[脱力できない理由]の記事でも触れてきたように、体の土台そのものを丁寧に見直すことが欠かせません。
当ラボが対面での個別指導にこだわっているのも、この「自分では気づけない部分」を一緒に確認していくためです。
まとめ:自己流を否定したいわけではない
自己流でのトレーニングそのものを否定したいわけではありません。
気になったことをまず自分で試してみる、感じたことを確かめてみる。
その姿勢は、簡単なようでいて、実はなかなかできることではありません。
ただ、「知っている」ことと「できる」ことの間には、思っている以上の距離があります。
その距離を埋めるには、フォームという表面の形だけでなく、その土台にある体の使い方から見直す必要があるのです。
【体験レッスンのご案内】
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内容:
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執筆者:布瀬川謙介|東中野・落合のパーソナルジム「BODY UPDATE LABO」トレーナー
パーソナルトレーナー歴18年。骨格構造に基づいた「体の正しい使い方」を追求し、理にかなった動作という視点から分析・指導を行っている。
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